以前ご紹介した記事「データ消失を防ぐためにハードディスクの寿命を定期的にチェックしよう」では、「HDD Sentinel PRO ver.5」などの診断ツールを使って、パソコンのハードディスク寿命をチェックする方法をいくつか紹介しました。今回はハードディスク寿命が短くなった場合の対策とバックアップの重要性について解説したいと思います。
ハードディスクの寿命は約4年
ハードディスクドライブの平均寿命は4年と言われていますが、たまにしか使っていないにもかかわらず1年で壊れてしまうこともあれば、毎日使っているのに10年以上使えているという場合もあります。
パソコンは安くても数万円〜十数万円の高価な機器なので、大切に使っていれば長く利用できるものなのだと考えてしまいがちですが、ハードディスクに関しては「明日壊れるかもしれない不安定な部品」くらいの認識でいるほうが賢明だといえるでしょう。
ハードディスク内のデータはメーカー保証の対象外
ハードディスクドライブが壊れる時は、だんだんと調子が悪くなることもあれば、何の前触れもなくある日突然壊れてそれっきり使えなくなってしまうこともあります。初心者の方の中には「5年のメーカー保証があるから大丈夫」と思っている方がいるかもしれませんが、メーカーが保証してくれるのは物理的なハードディスクドライブ本体だけであり、ハードディスクドライブの故障によって失われたデータは基本的にメーカー保証の対象外なので、思い出の写真データや仕事で使う業務データなど、失いたくないデータは自分できちんと対策をしなければなりません。
寿命の短いハードディスクは交換すべき?
ハードディスクドライブの寿命が近づいてきたら、ハードディスクそのものを新しい製品に交換するのもひとつの方法です。ハードディスクはパソコンのパーツの中では比較的、交換頻度の高い部分であり、一般的なデスクトップ型のパソコンであれば交換しやすいように設計されているため、ある程度のパソコンの知識があれば交換はそれほど難しい作業ではありません。
大雑把な作業手順としては、データのバックアップ、ハードディスクの交換、OSの再インストール、データの復元、という流れになりますが、パソコンの種類によってかなり難易度が異なるため、下調べをせずに不用意に作業を進めると、途中で行き詰まってしまうことにもなりかねません。メーカーのマニュアルや交換手順を公開しているネットの情報などできちんと勉強してからトライした方が良いでしょう。
ほとんどの人は定期バックアップをしていない
定期的なデータのバックアップはパソコン内のファイル管理において最も基本的かつ重要なことのひとつですが、日常的にパソコンを使っている人でも、きちんと定期バックアップをしている人は、10人中1人か2人くらいであるように観察されます。
バックアップをしない理由は「やり方がわからない」「めんどうくさい」「必要性を感じない」などさまざまですが、そのような人に限って、いざハードディスクドライブが故障すると大騒ぎし、最終的には何万円もの費用がかかる「データ復旧サービス」などに助けを求めることになります。
4年に1回交通事故にあうことがわかっていれば誰でも自動車保険に入ると思いますが、4年で故障するハードディスクには、どういうわけか保険(バックアップ)をかけようとしない人が多いのが現状です。
外付けHDDとクラウドストレージを併用すればファイル消失のリスクはほぼゼロにできる
私の場合は1日に1回、全てのデータを外付けHDDにバックアップし、さらに、業務で使うファイルはEvernoteやDropboxなどのクラウドストレージに保管し、他のパソコンと常に同期をとりながら作業を行うことにしています(ちなみにこの記事の原稿もEvernoteで書いています)。こうしておけば、作業中にパソコンが突然故障したとしても、クラウドストレージ上に作業中のファイルが保管されているので、データが失われることなく別のパソコンからすぐに作業を再開できます。
機密保持などの理由からクラウドストレージが使えない場合は、特定のフォルダをUSBストレージと同期しながら作業することでデータを失うリスクを減らすことができます(「USB フォルダ同期」などで検索するといろいろな方法が出てきます)。
いずれにしても日頃から定期的なバックアップを行っていれば、ハードディスクドライブが故障したとしてもファイルを失うリスクはほぼゼロにおさえられるでしょう。
まとめ
以上、ハードディスク寿命が短くなった場合の対策とバックアップの重要性について紹介しました。いざというときに大切なデータが失われないようにするためにも、ハードディスクの健康状態を常にチェックし、同時に定期的なバックアップを行うように心がけましょう。