会社の仕事が山積みで時間配分がうまくできず、あっという間に1日が終わってしまったという経験がないでしょうか?
「朝からメール対応をしていて気がついたら昼休みになっていた」
「上司から急遽依頼された仕事をしていたら今日やるはずだった仕事ができなかった」
誰でも一度はこのような経験があるかと思います。あっという間に終わったのが1日であればまだ良いのですが、これが1週間、1ヶ月と続いていくと、しまいには「何も新しい学びがないまま1年が過ぎてしまった」ということになりかねません。
そこで今回はパソコンの時間管理アプリを使って、自分がどのような時間の使い方をしているのかを把握する方法を紹介したいと思います。
なぜ時間の管理をする必要があるのか?
ベストセラーとなったスティーブン・R・コヴィーのビジネス書籍「7つの習慣」では、時間の使い方を以下の4つに分類しており、この中で、自分の成長の糧となったり、将来の業績を向上させるためには第2領域の時間を増やすことが大切であると提唱されています。
時間管理マトリクス
第1領域:緊急かつ重要なこと(必須課題・締切のある仕事)
第2領域:緊急ではないが重要なこと(自己投資・やりたいこと)
第3領域:緊急だが重要ではないこと(錯覚・作業)
第4領域:緊急ではないし重要でもないこと(無駄)
時間管理を行う目的は、どのような作業にどのくらいの時間を使っているかを把握することで、非生産的なルーチンワークや無駄な会議の時間を減らし、生産的な仕事の時間を増やすことであると言えます。時間管理のマトリクスを使った時間管理の方法を検索すると、いろいろな人がさまざまな方法で実践し、その成果が紹介されているので、自分のスタイルに合いそうな人をモデルにしてみるのも良いでしょう。
時間管理アプリとは?
時間管理アプリとはその名前のとおり、日々の作業時間を記録することで、自分が時間をどのように使っているのかを見える化(可視化)するためのアプリです。時間管理アプリを検索すると、Toggl、TimeCrowd、Hours、Timelyなどいろいろなアプリが出てきますが、今回はそのなかでも得に人気が高く、ウェブブラウザからも利用可能な「toggl(トグル)」を使って時間管理を行ってみましょう。
1. togglの登録と基本的な使い方
まずはtogglのウェブサイトにアクセスし、「Sign up」からアカウント登録をしてください。Googleアカウントを持っている場合はそちらで登録することもできます。サインインするとメイン画面が表示されます。
基本的な使い方は、①画面上部の入力フィールドに作業内容を入力して再生ボタンをクリックし、②終わったら停止ボタンをクリックする。たったこれだけです。蓄積された作業記録は、後から変更したりプロジェクト毎に分類したりできるので、ひとまず1週間使ってみることから始めると良いでしょう。
2. より詳しく分析するために(プロジェクトとクライントの設定)
togglでは作業記録に「プロジェクト」や「クライアント」を設定することができます。これらは本来、作業内容をグループごとに分類して管理しやすくするための機能ですが、筆者は作業を記録するときに作業内容を入力したり、一覧から探したりするのが面倒なので、あらかじめ作業内容をすべてリストアップし、これをプロジェクトとして保存しています。こうしておけば作業開始時にプロジェクトを選択するだけですぐに記録が開始できます。また、クライントには先述の時間管理マトリクスを再定義したものを設定し、後からレポートをチェックしたときに、どのような時間配分で作業を行ったかわかりやすくなるようにしています。
参考までに、筆者がtogglに登録しているプロジェクトとクライントの一部を以下に抜粋します。
Clients | Projects |
---|---|
第1領域 (他人の指示・依頼でやる仕事) |
原稿執筆 |
レポート作成 | |
ウェブサイトの更新 | |
第2領域 (自分でやる仕事) |
原稿執筆 |
自社サイトの制作・更新 | |
既存ページ更新 | |
コンテンツ考案 | |
第3領域 (成果のない作業) |
メールチェック |
会議 |
流れとしては、まず自分の仕事の内容をすべてリストアップし、それらを第1領域から第3領域(第4領域は該当するものがないので設定していません)に分類します。顧客や上司、部下に依頼されて行う仕事は第1領域、自分で企画して行う作業は第2領域、というルールで振り分けています。毎月の定例会議は第3領域ですが、自発的に行った会議であれば第2領域としています。
3. 振り返る
記録した内容はレポートのページから確認することができます。日別・週別・月別など、さまざまな期間で集計できるので、期間を決めて定期的に振り返るようにすると良いでしょう。
下記のドーナツグラフは先月の筆者の作業時間を時間マトリクスの領域別(先述の通りクライアントに領域を設定しています)で表示したものです。全体の作業時間の半分以上を第一領域の作業が占めており、第二領域の作業に費やした時間の割合は全体の30%ほどしかないことがわかります。
会社員であれば、第一領域の時間が多くを占めることは当然ですが、第二領域の時間がほとんどなかったり、第三領域の時間が極端に多かったりする場合は、時間の使い方を見直す必要があるでしょう。
まとめ
筆者は仕事柄、いろいろな業種の方と仕事をする機会がありますが、毎月の業務スケジュールや毎年の事業目標はしっかり立てていても、予定通りに実行できたかどうかを振り返っている人はそれほど多くないように観察されます。今回紹介した時間管理の方法は、学校の勉強の予習・復習でいうところの復習にあたりますが、復習をきちんとしておかないと同じミスを繰り返すことになるため、いくらがんばって働いてもなかなか作業効率が上がらず、結果的に生産性も上がりませんし、生産性が上がらなければ給料も上がりません。
仕事の時間配分というのは、会社や上司にコントロールされているように思えるかもしれませんが、自分で時間を管理するという意識を持てば、自分で自由にコントロールできるものだということがわかるはずです。自分できちんとコントロールできるようになれば、周りがどんなに忙しくても振り回されることなく、余裕を持って仕事ができるようになります。
繰り返しになりますが、時間管理を行う最終的な目的は、どんな時間の使い方をしているか知ることではなく、生産的な作業に使う時間を増やすことです。生産的な時間や、自分で考えて行動する時間を増やすことで、より前向きに、楽しく仕事ができるようになるでしょう。アプリを使った時間管理方法、ぜひ一度試してみてください。